認知症は、脳の働きの中の認知機能と呼ばれる、物事を記憶する、考える、判断するなどの機能が低下し、日常生活に支障をきたしてしまう病気です。かつては、痴呆と言われていました。
認知症で現れる症状には、中核症状と周辺症状があります。中核症状としては、記憶障害、見当識障害、理解力障害、実行機能障害、感情表現の変化などがあります。周辺症状としては、幻覚、妄想、無関心、抑うつ、無目的な行動、易怒的言動などがあります。特に周辺症状が強く表れた際は、介護者が対応に悩み疲弊してしまう状況となります。
認知症には様々なタイプがあり、アルツハイマー型認知症、脳血管性認知症、レビー小体型認知症、前頭側頭葉変性症などがあります。多くの認知症は、変性疾患と言われゆっくりと進行していくことが多いですが、一部の疾患では適切な治療を行えば認知機能が改善する疾患もあります。
診断には、認知機能検査、血液生化学的検査、脳画像検査などを行います。最近では、認知症の早期の変化をとらえることができるようになってきています。
認知症の治療は、まずご本人の状況を把握し、家族の対応を工夫することから始まります。薬物療法としては、現在アルツハイマー型認知症の中核症状の治療薬として、4種類の薬剤が使用できるようになりました。また周辺症状に対しても、向精神薬や漢方薬などにより症状を軽減することができ、家族の介護負担軽減につながることがあります。
ご本人では、自分の言動の変化に気づかないことが多い疾患ですので、周囲の方ができるだけ早期に変化を把握し、専門医に相談することが大切です。